離婚・死別した際の配偶者の在留資格イメージ画像

配偶者としての在留資格の変更について

日本人の配偶者等や、永住者の配偶者等の在留資格で在留する場合に、配偶者の身分を有するものとしての活動を、正当な理由なしに、継続して6ヶ月以上行わないで在留している場合、法務大臣は在留資格を取り消すことができます。

実体のある婚姻関係

日本人の配偶者等や、永住者の配偶者等の在留資格の取得や更新の場合、在留資格の審査に当たっては、法律上の婚姻関係だけでなく、実体のある婚姻であるか否かが審査されます。

実体のある結婚か否かとは、客観的な観点から、合理的で、かつ社会的通念上妥当な婚姻か否かで判断されます。

破綻した婚姻関係について

婚姻関係が破綻しているか否かは、夫婦が同居しているか否か、相互に扶助し合いながら社会生活を営んでいるかといったことが確認されます。

別居していたり、夫婦としての共同生活が破綻し、修復の見込みがない場合は、配偶者としての在留資格を更新する際、更新が許可されない場合もあります。

婚姻が破綻した夫婦のように複数の当事者間の主張が対立する場合は、他の在留資格への変更申請にあたり、地方入国管理局からの実態調査により、事情聴取を実施し、事実関係が正確に把握さることとなります。

別居中でも正常な婚姻関係と認められるには?

正常な婚姻関係や家庭生活は、通常の夫婦としての家計生活のことをいい、別居していた期間があったとしても、夫婦としての相互扶助や交流が継続的に認められれば、正常な婚姻関係があったと認められます。

日本人の配偶者等や、永住者の配偶者等の在留資格で在留する外国人が、配偶者の身分を有しなくなった場合には、速やかに在留資格変更の申請をする必要があります。

離婚または死別した場合の在留資格の届出義務

離婚・死別した場合の届出義務について

相手の配偶者と離婚または死別した場合は、日本人の配偶者等または永住者の配偶者等としての在留資格に該当しなくなります。

離婚・死別後も引き続き日本に在留することを希望する場合は、在留資格変更許可を受ける必要があります。

届出義務を怠った場合の罰金について

家族滞在や、日本人の配偶者等、(特別)永住者の配偶者等の在留資格で在留する外国人配偶者は、相手の配偶者と離婚や死別した場合、14日以内に入国管理局への届出義務があります。

この届出を怠った場合は、20万円以下の罰金に処すると定められています。

なお、定住者の在留資格で在留する外国人配偶者は、離婚や死別しても、入国管理局への届出義務がありません。

告示外定住について

「告示定住」と「告示外定住」とは

定住者は「告示定住」と「告示外定住」に分類できます。

「告示定住」の場合は、在留資格認定証明書交付申請により、海外から配偶者や実子、6歳未満の養子を招へいすることができます。

国際結婚により、海外から配偶者や子供を呼び寄せたい場合は「告示定住」となります。

「告示外定住」の場合は、海外からの招へいが出来ず、他の在留資格からの変更許可申請のみが認められます。

相手配偶者と離婚・死別した場合や、日本人の実子を養育・看護で、引き続き日本に住み続けたい場合は、「告示外定住」に在留資格を変更しなければなりません。

配偶者に関する「告示外定住」

配偶者に関する「告示外定住」は、以下の4つのケースがあります。

①日本人永住者又は特別永住者の配偶者と離婚後、引き続き日本に在留を希望する者

②日本人永住者又は特別永住者の配偶者が死亡した後、引き続き日本に在留を希望する者

③日本人の実子を監護・養育する者

④日本人永住者又は特別永住者との婚姻が事実上破綻し、引き続き日本への在留を希望する者

告示外定住は、特殊な申請となりますので、申請が許可される保証はありません。

「告示定住者」への変更で審査される項目

「告示定住者」への変更許可申請にあたっては、以下の項目が審査されます。

① 生計を営むに足りる資産・技能があるか否か

これは独立生計要件と言って、日常生活で公共の負担にならず、その有する資産技能から、将来安定した生活が見込まれることを言います。

例えば生活保護を受給している場合はこの独立生計要件を満たしてないことになります。

ただし公共の負担となっている場合であっても、人道上の理由から在留を認めるべき場合には、その理由を勘案して審査されます。

日本人との間に出生した実子を養育・監護する場合は、以下の要件を満たしていることが必要となります。

イ.日本人の実子の親権者であること

日本人の実子とは、この出生時点でその父または母が日本国籍を有している者をいい、実子の国籍が日本国籍か否かは問われません。

ただし日本国籍を有しない非嫡出子については、日本人の父から認知されていることが必要です。

ロ.現に相当期間、実子を養育・監護していること

在留資格変更の理由は、「日本人実子と同居し、実子を扶養するために定住を希望」などと記載します。

なお実施の養育監護については、地方入国管理局から、その実態調査が実施されますので、積極的に対応してください。

②日常生活に不自由しない程度の日本語能力を有しており、通常の社会生活が営めるか否か

申請書の記載内容や、担当官との面談で、意思疎通が可能であればよく、特定の日本語検定に合格していることは必要ありません。

③公的義務を履行しているか、履行が見込まれること

届出義務や納税義務等の公的義務を履行していること言います。

入管法上の届出義務とは、以下の5つの義務があります。

1.在留カード記載事項に関わる届出

2.在留カードの有効期間更新申請

3.紛失等による在留カードの再交付申請

4.在留カードの返納

5.所属機関等に関する届出などの義務

納税義務というのは住民税や国民健康保険税、国民年金等のことを指します。納税義務は、納付期限を守って納付している必要があります。

例えば納税義務の不履行により、修正申告による加算金等の刑を受けていた場合は、納税義務を履行していないと判断されます。

また刑を受けてなくても、高額の税金未納や長期間の税金未納が判明した場合も、納税義務を履行していないと判断されます。

まとめ

配偶者としての在留資格には、家族滞在、日本の配偶者等、永住者の配偶者等、特別永住者の配偶者、定住者の5つがあります。

相手の配偶者と離婚・死別した際は、14日以内に入国管理局へ届け出義務があり。義務を怠ると罰金が科せられたり、法務大臣により在留資格が取り消されたりします。

相手配偶者と離婚・死別し、引き続き日本での在留を希望する場合は、在留資格変更申請により、それまでの婚姻状況を審査し、告示外定住者の在留資格に変更することが出来ます。

配偶者としての在留資格は、永住や帰化の要件が緩和される場合があります。

配偶者としての在留資格に安住することなく、将来のリスクを軽減するため、後々後悔しないように、出来るときに、計画的に在留資格を変更しておくことをお勧めいたします。