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永住権の意味

永住権とは母国の国籍のまま日本に住み続けることのできる権利です。永住許可は、永住申請を行った外国人に対して、法務大臣が許可するか否かの最終決定をします。

永住申請ができる外国人の範囲

永住申請は、すでに日本に何らかの在留資格で滞在している外国人だけが申請可能です。初めて来日する外国人が、入国と同時に永住申請をすることはできません。

永住権で許可される活動範囲

永住者は法務大臣が永住を認める者として、在留活動と在留期間が制限されません。よって他の在留資格よりも慎重に審査されます。

永住権と帰化の違い

帰化は日本国籍を取って日本人になることです。 在留資格が不要で、ビザの更新は不要となります。日本のパスポートが取得できます。ほとんどの国へノービザで渡航できます。選挙権を取得します。議員になるための被選挙権を取得します。母国の国籍を喪失します。将来母国に帰る場合、母国で外国人としてのビザが必要となります。

永住権は外国人のまま、母国の国籍を失わずに、日本に滞在し続けられる権利です。在留資格更新の手続きが不要になります。在留活動の制限がなくなり、一般の就労ビザでは許可されないような、肉体労働や単純作業、水商売などでも、法律に反しない限り、就業することが可能となります。銀行から借り入れをして住宅ローンを組みやすくなります。失業や離婚をしたとしても、永住権の在留資格は失われません。配偶者と子供の永住申請が容易になります。

永住権の要件

法律上の要件

  1. 素行が善良であること

    これは、日常生活において法律を遵守し、違法行為又は風紀を乱す行為、社会的に非難される行為を行っていないということです。

    交通違反について

    車の運転をする外国人の場合駐車禁止や一時停止違反携帯電話の使用違反などで捕まることもあるかと思います。最寄りの交番で請求用紙をもらい、運転記録証明書を取得すれば過去の運転記録を調べることができます。過去5年間で5回以上違反している場合、常習性があるものとみられ、素行善良要件を満たさなくなります。飲酒運転や無免許運転は軽微な違反ではなく、故意の違反ですので、1回でも違反していれば、素行善良要件を満たさなくなります。

    資格外活動で週28時間を超えて就労した場合

    家族滞在などで、家族が資格外活動をしている場合、週28時間を超えて働いていると、永住申請をする扶養者の監督不行き届きとして、素行善良要件を満たさなくなります。

  2. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

    要件を満たす年間収入はどれくらい必要か?

    これは、日常生活において、生活保護など公共の負担になるならず、その者の有する資産又は技能等で、将来にわたって安定した生活が見込めることです。
    将来にわたって安定した生活と言えるには、年収が過去3年間にわたって、300万円以上あることが重要となります。もし、永住申請をする本人が主婦等の場合で、働いてない場合は、配偶者が独立生計要件を満たす必要があります。

    転職した場合の注意

    転職した場合、転職前と転職後の、給与や職務上の地位が下がる場合は、安定した生活とはみられない可能性があるので、1年ほど待ってから申請したほうが良いでしょう。

    適正な扶養人数で申告しているか?

    扶養人数が多いと生活費がかかります。一方、 所得税や住民税の納付額は少なくなります。扶養人数が一人増えると、必要となる永住申請者の年収は、70万円をプラスして考える必要があります。単独で永住申請をした場合年収は300万で構いませんが、妻を扶養している場合は、370万円以上の年収が必要となります。税金を安くするために扶養すべき人数を超えて扶養者として申請している場合は、過去の申告を適正な扶養人数に修正して、納税する必要があります。もし不適切な不要をしていた場合は、過去に遡って扶養を外しておくことも、永住ビザ申請の前には必要な手続きとなります。

  3. その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

    これは、永住申請をする外国人が、日本の国益に合致しているかどうかということです。

    1.【引き続き10年以上日本に在留し、このうち就労資格で5年以上在留していること】
    5年の就労期間は、転職が可能ですが、アルバイトは就労期間に含まれません。
    「引き続き」とは、在留資格が途切れることなく日本に在留し続けてることを意味します。1回の出国が3ヶ月以上ある場合や、年間で100日以上の出国がある場合は、「引き続き」の要件を満たさず、日本への在留期間がリセットされます。
    転職などにより次の仕事を探すため、無職期間がある場合、無職期間は就労期間に含まれませんので、日本での就労期間がリセットされ、新しく就職した会社で5年以上の就労期間が必要となります。

    2.【納税義務や公的義務を履行していること】
    <納付義務履行の証明>
    これは、所得税、住民税、国民健康保険税、国民年金等をきちんと払ってるかどうかということです。会社員の場合給与から源泉されるので問題ないですが、自分で納付している場合は、きちんと納付期限を守って支払っているかが問題となります。 自分で納付している場合は、納付期限を守って支払っていることを証明するために、領収書をきちんと保管しておく必要があります。銀行口座から自動引き落としを利用している場合は、通帳の記帳を忘れず行うことが必要となります。もし記帳忘れ合計記帳でまとめられて記帳された場合は、銀行から明細を取得する必要があります。

    <税金等の納付漏れや、期限後納付があった場合>
    納付期限を守って支払っていない場合は、永住申請をする直近1年間、納付期限を守って支払っている実績を作ってから申請となります。 理由書には、納付期限を守って納付できなかった理由と反省、口座自動引き落としにした等の対策を示すことが必要となります。
    国民健康保険は払っているが、国民年金を払っていないような場合は、国民年金に加入する必要があります。そして納付期限を守った支払い実績を一年分作ってから申請することになります。
    永住申請では、例えさかのぼって払ったとしても、納付期限を守らなかったことの事実は変えられませんので、むしろ将来1年間にわたってきちんと納付した実績を作ってから、理由書で未加入であった理由、反省、きちんと納付した実績を示して永住申請すれば、許可される可能性が高くなります。

    3.【現に有している在留資格について最長の在留期間で在留していること】
    法律上は5年が最長の在留期間ですが、3年で許可されている場合は最長の在留期間として取り扱われています。

    4.【公衆衛生上、有害となるおそれがないこと】
    これは、麻薬、大麻、覚せい剤等の中毒患者でないこと、エボラ出血熱、結核、SARS,鳥インフルエンザ等の感染症患者でないことを意味します。有害でないことの証明として、健康診断書を添付します。

現在10年在留に関する特例

    1. 日本人永住者及び特別永住者の配偶者の場合、実態を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留していること。その実子等の場合は、1年以上日本に継続して在留していること
    2. 定住者の在留資格で、5年以上継続して日本に在留していること
    3. 難民認定を受けた者で、認定後5年以上継続して日本に在留していること
    4. 外交、社会、経済、文化等の分野において、日本への貢献があると認められるもので、5年以上日本に在留していること
    5. 地域再生法に該当する活動を行い、日本への貢献があると認められる者の場合、3年以上継続して日本に在留していること
    6. 高度専門職のポイント計算を行った場合に、70点以上を有している者で、次のいずれかに該当するもの
      • 高度人材外国人として、3年以上継続して日本に在留していること
      • 3年以上継続して日本に在留している者で、永住許可申請日から3年前の時点を基準として、高度専門職に規定するポイント計算を行った場合に、70点以上の点数を有していたことが認められること
    7. 高度専門職に規定するポイント計算を行った場合に、80点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するもの
      • 高度人材外国人として、1年以上継続して日本に在留していること
      • 1年以上日本に在留している者で、永住許可申請日から1年前の時点を基準として、高度専門職に規定するポイント計算を行った場合に、 80点以上の点数を有していたことが認められること

まとめ

ここでは、永住権の要件についてまとめました。永住には10年以上継続して日本に在留し、素行善良要件、独立生計要件、国益要件を満たしている必要があります。在留要件は、留学生からの在留では、10年のうち5年の就労期間が必要となります。高度専門職の在留資格は、在留要件が10年から3年又は1年に短縮されます。
日本人・永住者・特別永住者の配偶者は、実態を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留すれば永住権が取れます。日本人・永住者・特別永住者の実子又は特別養子は、引き続き1年以上日本に在留すれば永住権がとれます。日本人・永住者・特別永住者の養子は、原則通り、10年以上継続して日本に在留しなければ、永住権はとれません。
配偶者・実子・特別養子・養子は素行善良要件と独立生計要件が緩和されます。

定住者、難民認定を受けた人、日本への貢献が認められた外国人は、10年の在留要件が5年に短縮されます。