日本で就労活動するための在留資格には、「教授」「芸術」「経営・管理」「法律・会計」「医療」「教育」「高度専門職」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「技能」「興行」等があり、これらの在留資格から永住権を取得する際に必要となる書類は以下の通りとなっています。
就労からの永住権取得に必要な書類
自分で作成・準備するもの
- 永住許可申請書
- 写真(縦4cm×横3cm)
- 理由書(永住許可を必要とする理由をかいた文書)
- 確定申告書控えの写し (申請人が会社経営者の場合)
- 営業許可書の写し(ある場合) (申請人が会社経営者の場合)
- 定款の写し(申請者が会社経営者の場合)
- 会社案内(申請者が会社経営者の場合)
- 預貯金通帳の写し(申請人を扶養する者がいる場合は、その者の預貯金通帳の写しも必要)
- パスポート(申請の際に提示)
- 在留カード(申請の際に提示)
- 自宅の賃貸借契約書の写し
- 自宅の写真(外観、玄関、キッチン、リビング、寝室等)
- スナップ写真(家族と写っているものを3枚以上)
- 申請人の自宅の賃貸借契約書の写し
- 最終学歴の卒業証明書または卒業証書の写し
- 彰状、感謝状、叙勲書等の写し(あれば有利となる)
- ポイント計算表とその疎明資料(高度専門職70点以上の立証資料)
- ポイント計算表とその疎明資料(高度専門職80点以上の立証資料)
勤めている会社から取得するもの(申請人が会社員の場合)
- 在職証明書(直近3ヶ月以内発行のもの)
- 申請人の源泉徴収票(直近3年分)
- 申請人の給与明細書(直近3ヶ月分)
市区町村役場から取得するもの
- 申請人を含む家族全員(世帯)の住民票
マイナンバーは省略し、他の項目は省略なしのもの - 婚姻届けの記載事項証明書(婚姻届けを出した市区町村役場に請求)
- 住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(過去3年分)
- 住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(過去1年分)(高度専門職70点・80点以上の場合)
法務局から取得するもの
- 土地の登記事項証明書(不動産所有している場合)
居住用・投資用・同居親族・申請人を扶養する者が所有する不動産も含む - 建物の登記事項証明書(不動産所有している場合)
居住用・投資用・同居親族・申請人を扶養する者が所有する不動産も含む - 法人の登記事項証明書
申請者または同居する親族が会社経営者の場合
身元保証人から取得するもの
- 身元保証書
- 身元保証人の印鑑(身元保証書に認印を押印)
- 身元保証人の在職証明書または法人登記事項証明書
- 身元保証人の直近(過去1年分)の課税証明書または納税証明書
- 身元保証人の住民票
申請人の母国から取得するもの
申請人の身分関係を証明する、戸籍謄本、出生証明書、婚姻証明書
【中国人】
結婚公証書、出生公証書
【韓国人】
婚姻関係証明書、基本証明書
(注)母国からの書類は日本語訳が必要となります。
就労からの永住権取得要件
就労系の在留資格から、永住権取得に必要な要件は以下の通りとなっています。
1. 素行が善良であること
これは、日常生活において法律を遵守し、違法行為又は風紀を乱す行為、社会的に非難される行為を行っていないということです。
【交通違反】
車の運転をする外国人の場合駐車禁止や一時停止違反携帯電話の使用違反などで捕まることもあるかと思います。
最寄りの交番で請求用紙をもらい、運転記録証明書を取得すれば過去の運転記録を調べることができます。
過去5年間で5回以上違反している場合、常習性があるものとみられ、素行善良要件を満たさなくなります。
なお、飲酒運転や無免許運転は軽微な違反ではなく、故意の違反ですので、1回でも違反していれば、素行善良要件を満たさないことになります。
【資格外活動で週28時間を超えて就労】
家族滞在などで、同居する家族が資格外活動をしている場合、週28時間を超えて働いていると、永住申請をする扶養者の監督不行き届きとなり、素行善良要件を満たさないことになります。
2. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
【要件を満たす年間収入】
これは、日常生活において、生活保護など公共の負担になるならず、その者の有する資産又は技能等で、将来にわたって安定した生活が見込めることです。
将来にわたって安定した生活と言えるには、年収が過去3年間にわたって、300万円程度以上あることが重要となります。
【転職した場合の注意】
転職した場合、転職前と転職後の、給与や職務上の地位が下がる場合は、安定した生活とみなされない場合があります。給与水準等が下がってしまった場合は、永住申請を1年程度待ってから申請したほうがいいでしょう。
【適正な扶養人数】
扶養人数が多いと、生活費が多くかかるようになります。一方、 扶養人数が増えると、所得税や住民税の納付額は少なくなります。
扶養人数が増える場合に必要となる永住申請者の年収は、一人あたり70万円程度をプラスして考える必要があります。
単独で永住申請をした場合年収は300万で構いませんが、妻を扶養している場合は、370万円以上の年収が必要となります。
税金を安くするために扶養すべき人数を超えて扶養者として申請していた場合は、過去に遡って扶養を外し、過去の申告を適正な扶養人数に修正して、納税しておくことも、永住ビザ申請の前には必要な手続きとなります。
3. その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
これは、永住申請をする外国人が、日本の国益に合致しているかどうかということです。
➀ 引き続き10年以上日本に在留し、このうち就労資格で5年以上在留していること
5年の就労期間は、転職は可能ですが、アルバイトは就労期間に含められません。
転職などにより次の仕事を探すため、無職期間がある場合、無職期間は就労期間に含まれませんので、日本での就労期間がリセットされ、新しく就職した会社で5年以上の就労期間が必要となります。
「引き続き」とは、在留資格が途切れることなく日本に在留し続けてることを意味します。1回の出国が、3ヶ月以上ある場合や、年間で100日程度以上の出国がある場合は、「引き続き」の要件を満たさず、日本への在留期間がリセットされます。
【高度専門職の居住要件】
高度専門職のポイント計算を行った場合に、70点以上を有しているもので、次のいずれかに該当する場合は3年の在留期間で永住許可申請が可能となります。
- 高度人材外国人として、3年以上継続して日本に在留していること
- 3年以上継続して日本に在留している者で、永住許可申請日から3年前の時点を基準として、高度専門職に規定するポイント計算を行った場合に、70点以上の点数を有していたことが認められること
高度専門職に規定するポイント計算を行った場合に、80点以上を有しているものであって、次のいずれかに該当する場合は1年の在留期間で永住許可申請が可能となります。
- 高度人材外国人として、1年以上継続して日本に在留していること
- 1年以上日本に在留している者で、永住許可申請日から1年前の時点を基準として、高度専門職に規定するポイント計算を行った場合に、 80点以上の点数を有していたことが認められること
② 納税義務や公的義務を履行していること
【納付義務履行の証明】
これは、所得税、住民税、国民健康保険税、国民年金等をきちんと払ってるかどうかということです。
会社員の場合給与から源泉されるので問題ないですが、自分で納付している場合は、きちんと納付期限を守って支払っているかが問題となります。
自分で納付している場合は、納付期限を守って支払っていることを証明するために、領収書をきちんと保管しておく必要があります。
銀行口座から自動引き落としを利用している場合は、通帳の記帳を忘れずに行っておくことが必要となります。もし記帳忘れ合計記帳でまとめられて記帳された場合は、銀行から明細を取得する必要があります。
【税金等の納付漏れや、期限後に納付した場合】
納付期限を守って支払っていない場合は、永住申請をする直近1年間、納付期限を守って支払っている実績を作ってから申請となります。
理由書には、納付期限を守って納付できなかった理由と反省、口座自動引き落としにした等の対策を示すことが必要となります。
国民健康保険は払っているが、国民年金は払っていないような場合は、国民年金に加入する必要があります。そして納付期限を守った支払い実績を1年分作ってから申請することになります。
永住申請では、例えさかのぼって払ったとしても、納付期限を守らなかったことの事実は変えられませんので、過去に遡って納付するより、今後1年間にわたってきちんと納付した実績を作るほうがいいです。
未加入であった理由と反省を理由書に書き、きちんと納付した実績を示して永住申請すれば、許可される可能性が高くなります。
③ 現に有している在留資格について最長の在留期間で在留していること
法律上は5年が最長の在留期間ですが、3年で許可されている場合は最長の在留期間として取り扱われています。
④ 公衆衛生上、有害となるおそれがないこと
これは、麻薬、大麻、覚せい剤等の中毒患者でないこと、エボラ出血熱、結核、SARS,鳥インフルエンザ等の感染症患者でないことを意味します。
有害でないことの証明として、健康診断書を添付します。
まとめ
永住権を就労系の在留資格から取得する方法をまとめました。就労系の在留資格は、会社員と会社経営者で提出書類が異なります。また、高度専門職の在留資格で在留する場合は、永住許可の居住要件が緩和されます。